ひめくり日記, 展示会の様子

菅川恵梨さんの作品。

富樫さんと菅川さんの二人展、4日目。
今日は菅川さんが一日在店してくださいました。
先日の富樫さん同様、つながりのある方々にたくさんお越しいただきました。

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こちらは菅川さんの作品で、一輪挿し。
甘食や洋梨など、やわらかなラインで金属には見えない感じです。
でも持ってみると重い。焼き物とはあきらかに違います。
形はどこかユーモラスなんですが、色が落ち着いたいい色で、なんとも言えない存在感を漂わせています。

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今回の二人展がひめくり初登場の菅川さん。
富樫さんとは大学の先輩後輩関係で、菅川さんのほうが少し先輩です。
そんな二人がいろいろ相談しながら作り上げてくださった今回の展示。
作品と展示について、どんなことを考えているのか言葉を綴っていただきました。
今日は菅川さんの言葉をご紹介したいと思います。

 

◯今回の作品・展示のこと

普段はわりとシンプルな形を創りがちですが、富樫さんと一緒に展示をする時はどうしてか、あんなのもこんなのもと、いろんなものを付け足してしまいたくなります。

大学で金属と出会ってから制作を続けてきましたが、卒業してから7年後に染織とも出会いました。出会った当初は、金属と違いこんなにふにゃふにゃしたものが作品になるなんて信じられない思いでしたが、いざ親交が深まってくると私の中の制作カテゴリーにぴたりと嵌まってしまいました。金工と染織、どちらも手仕事の類だからというのもあるでしょうか。

金属の魅力はその肌というか質感というか、圧倒的な存在感でしょうか。(重いのが玉にキズですが。)

染織の魅力は表現の豊かさ、なんと言っても色数の多さではないでしょうか。

私が制作に用いるのは主にブロンズ、真鍮などの銅合金ですが、カラーバリエーションは金属本来の色の科学変化で出しているので、硫化の黒・茶色、酸化の緑、薬品変化の青、金属そのままの色で5円玉色、10円玉色と、色相的に偏りがあります。金属での制作でなんとなくシンプルな形になってしまったのは、その辺で勝手に自分で縛りを作っていたせいかもしれません。制約の中の形というのもそれはそれで好きなんですが・・・。

染織とともに富樫さんとも出会い、2人で一緒に展示するというのは今回で2度目になります。1度目の展示で、せっかくだから金属の作品に染織の要素を混ぜてみようと実験的な気持ちもあり、ブロンズに毛や糸を絡ませ始めたら何とも楽しくなってしまった訳です。

今回は2度目ということで、前回よりもさらに金工と染織の垣根を踏み越えていくような作品ができたらと思います。

テーマというかイメージは前回から引き続き、南ペルシア地方の遊牧民の毛織物です。大自然の平原の風景を表現したいと思っています。

それを踏まえ、富樫さんの手紡ぎの糸と金属を組み合わせたアクセサリーや置物、壁掛けのレリーフなどを制作しました。

 

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4年前、Gallery彩園子での展示の様子。
お二人の作り出したこの雰囲気がとても気に入って、心の中で温めること数年…。
まさか4年前の写真をアップされるとは思っていないだろうと思うのですが、今、彼女たちの作品に囲まれていることはとてもしあわせな気持ちです(笑)。

 

菅川さんのプロフィールをあらためてご紹介します。

菅川 恵梨(すがかわ えり)
岩手県宮古市生まれ(紫波町在住)
岩手大学特設美術科 金工研究室 卒業
2010 Gallery彩園子(盛岡市)にて個展
2013 岩手芸術祭美術展工芸部門 芸術祭賞
2014 2人展「羊とブロンズの展覧会」/Gallery彩園子
2014 岩手県美術選奨
2018 4人展「紡ぐ・縫う・創る・鋳る」/盛久ギャラリー
現 岩手工芸美術協会会員、日本鋳金家協会会員

 

今週は11/29(木)が定休日です。
12/1(土)は富樫さん、12/3(月)は菅川さんが在店予定です。
今週も皆さまのお越しをお待ちしております。

2018年11月26日 | ひめくり日記, 展示会の様子